「私なんかが、そんな年収をもらえるわけない」
いい条件の求人を見つけたとき、こんな言葉が頭に浮かびませんか。せっかく応募しても、面接に呼ばれたら「きっと何かの間違い」。褒められたら「相手がお世辞を言っているだけ」。内定が見えてきても「私には荷が重い」と、自分から手を引いてしまう。
前回は、「私は採用されない」という思い込みをテーブルの天板にたとえ、その結論を支えている「前に落ちた」「短大卒だから」「英語が完璧じゃない」といった脚を見てきました。今回は、その思い込みに気づいたあと、どうやって自分を前に進めるかを話します。
「できない証拠」を探すクセ
転職を始めたばかりの人が、一社に応募して返事をもらえなかったとします。すると「ほら、やっぱり私には無理だ」と思う。でも、一社から返事がなかったことは事実でも、「私はどこにも採用されない」はまだ決まっていません。
「私なんか無理」と思っていると、できなかった出来事だけを集めてしまいます。逆に、できたことは「これくらい誰でもできる」と流してしまう。これでは、いくら前に進んでも、本人の中に前進した実感が残りません。
ここで必要なのは、根拠のない自信を作ることではありません。自分が実際にやったことを、見落とさずに数えることです。
履歴書ができたら、それは「できた」
たとえば、職務経歴書の下書きを一ページ書いた。「まだ完成していない」ではなく、「一ページ書けた」。
応募ボタンを押した。「受かるか分からない」より先に、「怖くても応募した」。
エージェントから返信が来た。「まだ面接じゃない」ではなく、「一人の採用のプロに自分の経歴を見てもらえた」。
面接でうまく答えられない質問があったとしても、「あの質問を次は準備できる」と、次に使える材料が一つ増えています。
小さく見えるかもしれません。でも、昨日の自分にはできていなかった行動です。私は、ここをちゃんと「すごいじゃん!」と喜んでほしい。
グラスのどちら側を見る?
水が半分入ったグラスを見て、「もう半分しかない」と思うことも、「まだ半分ある」と思うこともできます。水の量は同じです。
転職活動も同じ。一社に落ちたとき、「またダメだった」だけで終えるのか、「応募して、求人の条件を読んで、自分の経験を言葉にできた。次は応募文を直してみよう」と見るのか。後者なら、次の行動が見えます。
ただし、つらい気持ちを無理に消す必要はありません。落ちたら落ち込む。それは自然です。少し落ち着いたら、今回できたことと、次に変えたいことを一つずつ拾ってください。
今日からやる「できたことメモ」
ここから、ちょっと練習をしてみましょう。毎日の終わりに、今日できたことを一つ書いてみてください。大きな成果じゃなくていいんです。
「求人を一件見た。お、できた!」
「職務経歴書を一行書いた。お、できた!」
「怖かったけど、応募ボタンを押した。お、できた!」
今までのあなたは、できなかったことを探すのが当たり前になっていたかもしれません。何もできていないように感じる日だってあると思います。でも、よく見ると一つくらいは見つかるんですよ。求人を開いた。応募条件を読んだ。友達に転職の話をしてみた。そこを「こんなのたいしたことない」で消さないで、**「お、私、できたじゃん」**って受け取ってほしいんです。
一つ見つかると、「じゃあ明日は、もう一行書いてみようかな」と思える。一行が二行になって、職務経歴書ができる。求人を一件見るだけだったのが、応募できるようになる。返事が来たら「お、できた!」。面接の日程を決められたら、また「お、できた!」。
気づいたら、できることがたくさん増えている。振り返ってみたら、転職活動を始めることすら怖かった自分が、面接に行って、新しい職場で働いているかもしれない。そうやって、「お、できた!」の積み重ねで、転職まで進んでいこう。
だから今日のメモは、二つだけ。
- 今日できたことは何?
- 明日、次にやってみたい小さなことは何?
「私なんか無理」が出てきたら、「本当に何もできていない?」と自分に聞いてみて。できたことを一つ見つけて、ちゃんと喜んで、次の一歩を選ぼう。


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